宮下奈都さんの『羊と鋼の森』(文藝春秋)を読みました。
調律師として「目指す音」についての言葉がありました。
「明るく静かに澄んで懐かしい文体、
少しは甘えているようでありながら、
きびしく深いものを湛えている文体、
夢のように美しいが現実のようにたしかな文体」
「音」っていうのは言葉にするのがとても難しい。人によって感じ方が違うからです。
でもそれが主人公の中にストンと落ちます。
料理における「おいしい」というのも「感情」なのだそうです。
だから言葉にするのが難しいし、人によって違い、正解がない。
でもその中で葛藤しながらやっていかないといけない。
音楽と料理、全然違いそうで、少し似てるところがあるなと感じてしまいました…
個人的な話ですが、料理家としてやっていこうと決めたその時の感覚が、
主人公が調律師として生きていこうと決めた感覚とかぶってしまいました。
大切な本の一冊になりそうです。
なんだか綺麗な気持ちになれる素敵な本ですので、ぜひ。